英語、中国語、ロシア語などといった外国語の学習はよいことです。
今まで知らなかったことがわかるし、趣味や情報・交流の幅が広がります。
しかし、私は母国語である日本語をおろそかにしない方がいいと思います。そもそも母国語李大使手の理解が足りないと外国語の理解も深まらないからです。
そこで、日本語に対しての理解を深めるためにその特徴とそこから見える日本語の良さについて考えてみます。
1、膠着語:
膠着語とは形態的類型論平たく言うと言語の文法による大まかな分類で「屈折語・孤立語・膠着語」の3つのうちの一つです。
屈折語には英語、フランス語、ロシア語等ヨーロッパを主とした国々の言語が入ります。語句が文法上の意味合いによって変形(屈折)することが特徴です。例えば英語で「彼」は「he」で、「彼に」は「him」になるといったようなものです。
孤立語には中国語、タイ語、ベトナム語等中国近隣や東南アジアの国々が多くみられます。孤立語の場合は時制や単語の変形はなく、単語をどの順番に置くかによって意味が全く変わったりします。例えば中国語では
「我爱你(私はあなたを愛しています)」と「你爱我(あなたはは私を愛しています)」
は我(私)と你(あなた)を入れ替えるだけで意味が逆転します。「は」とか「を」とか「います」はいらないんです。
あと「私はあなたを愛しています」は「私_は_あなた_を_愛_して_います」に分解できます。分解したものの中で単体で意味を持つものは「私・あなた・愛」だけです。それを徹底していったのが孤立語ですね。
そして膠着語(日本語、韓国語、モンゴル語、トルコ語・フィンランド語等)は孤立語の例で示した単体で意味をもつものにそれと対照的な単体で意味を”持たない”語句(助詞・助動詞・接続詞・接頭辞・接尾詞など)が膠着(くっつく)ことで”意味”を補助して文章を構成します。その例はさっきの孤立語との対比に見られるので省略します。
一見すると複雑でわかりづらいものですがこれらが日本語を豊かにしているのです。
述語にも例えば何かが”きれいだ”という一言に
「きれいだ」「きれいだね」「きれいだよ」「きれいね」「きれいよ」
といい方が無数にあり、「きれいだ」はどちらかというと男性的で、「きれいね」は女性的な言い方です。左に行くほど女性的な言い方のイメージです。言い方ひとつとっても発言した人のキャラクターやセクシュアリティが現れるのです。今みたいなカタカナ言葉もちょっと外来語的で小賢そうな印象を与えたりします。
カタカナや漢字を含めると「キレイだ」「綺麗だ」「奇麗だ」と書き言葉の上で”含み”を持たせます。
ここからは日本語のみにみられる特徴です。
”一人称”が日本語にはたくさんありますね。
「私」「ぼく」「おれ」「おいら」「あたし」「あたい」「わし」「われ」「ミー」など
これにも性別や年齢などといった発言者の人格の背景・属性が現れます。
とにかく日本語は豊かなんです。皆さんにも日本語の豊かさを再認識し、もっと好きになってほしいと思っています。